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Fig.1 Example of acoustic profiling record and measure results of salinity and water temperature(February, 1993).

2. 塩分躍層動態観測システムの開発
上記の研究結果から、湖の複数地点に送受波器を設置し、連続した音響探査を行い反射波を記録することにより、塩分躍層の時間、空間的な動態をダイナミックにとらえることが可能である見通しが得られた。かくして、音響による塩分躍層動態観測システムを開発するに至った。塩分躍層を検出するための送受波器は、湖底に固定することとした。送受波器を水面付近に設置する場合、大掛かりな設置工事が必要であるが、湖底設置とすると、送受波器の固定は容易であり、気象条件が悪化しても常に安定した記録を得ることができる。湖底設置された送受波器から湖水面に向かって音波を発信し、音響インピーダンスの急変する塩分躍層で、反射波が検出される。1994年には音響記録をリアルタイムで見ることのできるオンライン方式の観測システム(AC電源式)を製作し、さらに1996年には、どこにでも設置することのできるブイ型のオフライン探査機(電池駆動式)を試作した。
また、光ファイバ分布型温度センサの水域での応用研究のなかで、光ファイバ分布型温度センサで広範囲の湖底水温分布を測定し、その時間・空間的変化をとらえることにより下部塩分層の流動が把握できること判明した3)。そこで光ファイバ分布型温度センサを動態観測システムのセンサの一つとして組み入れることとした。観測システムは、主に、(1)音響による塩分躍層動態観測装置、(2)光ファイバ温度センサによる湖底水温分布観測装置、から構成され、その他に流向流速計および水温計を付加したものとなっている。また、観測水域内において水質計を用い、定期的に塩分、水温、溶存酸素およびpHの垂直分布を測定する。各センサの設置には、ディファレンシャルGPS(DGPS)測位装置を用い、高精度の測位を行っている。
3. 観測システムの概要
(1)音響による塩分躍層動態観測装置(オンライン方式)観測装置は送受波器、音響送受信機、システム制御・データ収録器から構成される。送受波器は、それぞれ全長200mのケーブルを備え、音響送受信機に接続される。音響送受信機は、3チャンネルの送信・受信回路を備え、得られた受信信号は、出力部よりアナログ信号で出力される(Fig.2)。
システム制御・データ収録器では送受波器の発信の時間制御および信号のA/D変換と収録をおこなう。発信のトリガ信号を音響送受信横に送った後、各チャンネルの受信信号を高速のA/D変換器に入力し、デジタル収録される。同時に3チャンネルの時系列の観測記録はCRTモニタにカラー表示される。トリガ信号の発信は2分母に行い、デジタルの観測データ(約7Kbyte)は毎回光磁気ディスクに収録される。基本仕様をTable1に示した。

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Fig.2 Block diagram of on-line acoustic observation system for halociline behaviour.

 

 

 

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